巷には色々なヘアケアやコスメの商材が溢れかえっているわけですが、ここ10年くらいで業界を席捲し続けたのはやはり天然由来系の商材でしょう。

オーガニック、ボタニカル、無添加と、ドラッグストアに行けば実に多岐に渡る商品が所狭しと並んでいますね。

 

ヘアケア商品に限って言えば近年シリコン製品が嫌われた結果ノンシリコン製品が台頭し、オーガニック製品に続き、現在はボタニカル製品が全盛期を迎えています。

「ボタニカル=安全=肌や髪に優しい」という謎理論がまかり通っていることには疑問を感じますし、そもそも何故に天然由来は人の心を動かすのでしょうか?

 

「天然由来以外は使わない!」というガチのナチュラリストは少数派だと思いますが、やはり美容はイメージを売る世界であり「よく分からないけど良さそう」という感覚でモノを買う人がいるのが現実です。

そして「よく分からないけど良さそう」なイメージを与えるのに”天然由来”や”ボタニカル”が当てはまったのだと思います。

要はキャッチフレーズ的な意味合いが強いとも言えますし、言葉だけが一人歩きしているような宣伝文句も今や珍しいものではありません。

 

しかし、何度も言いますが美容の世界は無知だと損をする世界です。

億単位の広告料を使って商品を売る企業と、億単位の研究開発料を払って商品を作る企業と、品質はどちらが高くなるかは言うまでもありませんね。

 

 

 

現在オーガニックやボタニカルを謳う商品に明確な基準は無く、基本的にはどの化粧品でもオーガニックやボタニカルを名乗ることができます

どの程度オーガニックやボタニカル風に寄せるかはメーカーごとに差はありますが、そもそも基準が無いからね。

どれくらい植物エキスやオイルが入ってれば凄いのかすら分かりませんね。

 

シャンプーやトリートメントは基本的に化学薬品ではありますが、その素材の大部分が天然資源に由来します。

むしろみんなが嫌いな”石油系”なんて地球上で最もポピュラーな天然資源のひとつじゃないでしょうか。

言い方を変えれば殆どのシャンプーやトリートメントが天然由来だと言えることになってしまうわけで、この時点でボタニカルという言葉の意味は消失します。

 

 

で、オーガニックという概念についてですが、根本的に勘違いしている方が多いです。

そもそもオーガニックとは動植物や微生物を含む自然環境に配慮した栽培方法を指すのであって、人間に対して安心安全を謳うものではありません。

売る企業側と、買う消費者側と、どちらにとっても都合の良いオーガニック信仰がマーケティング的に最適だったってことですな。

 

ちなみに食材や美容商品においては、一応は「化学肥料を用いずに栽培された植物由来」と定義されていますが、これは無農薬という意味ではありませんよ

海外は知りませんが日本(有機JAS法)の栽培基準だと40種くらいの天然農薬は使って良いとされています。

ただ使用する量には規定が無く「使う種類よりも使う量じゃないの?」という点で賛否が分かれているようです。

通常の栽培方法だと使える農薬の種類は約4000種くらいだそうで、さすがに比べてみれば有機栽培の方が安全なのかなという雰囲気はありますよね。

お野菜に限って言えば、有機栽培の方が味が濃くて美味しいそうですよ。

 

そんな感じで厳密には曖昧な点が多いものの、ものによっては海外の偉い団体の認証を受けたりと、美容業界ではそれなりに厳しい基準ができています。

しかし、有機野菜ですら害虫や病気の危険性があり絶対に安全とまでは言えないようですし、逆に明確に農薬を使ったせいで健康被害になったという話もありませんし。

 

ましてシャンプーは殺菌・消毒した施設で化学合成して作られるものですんで、オーガニックであろうとなかろうとあんまり関係ないと思うんですよね。

ついでに言うと「水にこだわりました!」とか「海洋深層水を使用!」とかを謳う商品もありますが、化粧品やヘアケア商品に使う水は精製水ですからね。

日本を含む世界中のオーガニック協会に申請するのも認定を受けるのも、どちらもそれなりの金額を支払うものですし、某グッドデザイン賞のように権威をお金で買うものだと思う方が自然じゃないでしょうか。

 

 

 

 

まとめ

人の興味を引き付けて止まないオーガニックやボタニカルですが、個人的にも決して否定的に捉えているわけではありません。

ちゃんとオーガニックの本来の意義に沿ったスタンスで良質な商品を販売するメーカーもたくさんあります。

 

ただし冒頭で述べたように、高級アルコール系シャンプーがダメの烙印を押されると同時にノンシリコン商品が生まれ、ボタニカルを謳う高額な商品が次々と誕生しています。

中身はその辺のシャンプーと変わらないにも関わらず「ボタニカル」がくっつくだけで値段が高くなることはザラにありますし、そういう商品に限って必死にインフルエンサーを使って宣伝広告に励んでいたりするものです。

やれツイッターだインスタだで商品と自撮りしている人達いっぱいいるでしょ?

間違っても善意でやってるだなんて思わないように。

 

ヘアケア商品を含む化粧品は基本的に毎日使うものであり、だからこそ知識を得ないといけない大事なものです。

専門的な知識は必要ありませんが、いくつかのキーワードくらいは覚えて損は無いでしょう。

ためしに自分が今使っている商品を調べてみましょう、意外な発見がいっぱいあると思いますよ。

 

 

 

今回のまとめ

・オーガニックやボタニカルは、それ自体が商品の性能を左右するものではない。
・よって「天然由来」を鵜呑みにしない。
・そもそもオーガニック=安全という意味でもない
・ボタニカル=良質という意味でもない。
・無農薬とは全くもって意味が違う。
・天然由来系商品は高額になる傾向が強いが、値段で決めない。