というわけでシリコンのお話、念のために言っておきますが正式名称はシリコーンになります。

最近は巷に出回るシャンプーの質が以前に比べ向上しており、ノンシリコン製品が主流になった流れもあってシリコン入りシャンプーは多少減ったように思います。

しかし髪を落ち着かせる役目を持つシリコンですので、コンディショナーやトリートメントにはまだまだ主役級の活躍をしているものが大多数を占めております。

 

シリコンシャンプーやトリートメント、ノンシリコンシャンプーやトリートメント、、色々な人が色々な意見を言うもんだから、結果的にすこぶる曖昧な関係になってしまった両者です。

ので、2021年現在の科学で分かる範囲のお話になりますが、そろそろハッキリと決着をつけましょう。

全ての情報にはしっかりした研究結果と文献があり、立派な科学者が研究結果を捏造していない限りは全て真実でございます。

「何だよ、聞きかじった知識かよ」と思うかもしれませんが、このレベルの化学研究は美容師の守備範囲ではなく、完全に科学者の領域になります。

よって、私が暇つぶし必死にかき集めた論文を自分なりにまとめたお話ではありますが、かなり信憑性のある話だと思って読んでください。

 

 

 

 

①そもそもシリコンて?

ざっくり言うとケイ素と酸素がメインの有機化合物の総称で、オイル状のものとゴム状のものがあります。

それはもう幅広い用途で使われておりまして、身近なところだと化粧品はもちろんティッシュペーパーや衣服柔軟剤や調理器具、工業用製品からPC部品から医療品から玩具などなど、あらゆるものに使われます。

熱に強く劣化しづらく、通気性や柔軟性に優れ、さらに安全性が高く比較的安価というハイスペックな奴なんですな。

で、シャンプーやトリートメントには髪の摩擦を減らし、帯電(静電気)を防止し、ツヤを出す目的で使われます。

ダメージを負ってパサついた髪をしっとりツヤツヤにするために様々な成分がありますが、世に出回るヘアケア商品の大半に使用され、ヘアコンディショニングを司る代表格と言っても良いでしょう。

 

 

 

 

 

②頭皮への影響

まずシリコンが頭皮の痒みや抜け毛の原因になるかどうかですが、なりません

シャンプーやトリートメントに使われるシリコンは極めて細かい粒子でして、確かに毛髪や頭皮にくっつきはしますが、多少の差はあれ基本的にはシャンプーで洗い流されます。

至って普通に、毎日のシャンプー→コンディショナー、次の日のシャンプー→トリートメントのサイクルであれば過剰に頭皮や毛髪に残留することはありません。

もし頭皮に残留するほどに濃度の高いシリコンであれば、恐らく普通に頭皮がベタつくので分かると思います。

 

強いて言えばプラス電荷を帯びた(カチオン化=ダメージ部に強く付着する)シリコンを多用すると必要以上に毛髪に付着する(ビルドアップ)ことはありますので、大量にベタベタつけるのはオススメしませんが。

いずれにせよ、頭皮に蓄積するのは皮脂です。

ちゃんと洗えば流れ落ちるものですので、普通にしっかりと洗いましょう。

 

 

 

 

③キューティクル

シリコンが取れる時にキューティクルが剥がれるという噂がありますが、ガセです。

「見るに堪えない程のダメージ毛でも?」と言われると若干揺らぎますが、キューティクルは非常に頑丈な膜ですので、基本的には無いと言って良いでしょう。

ノンシリコン製品を売りたいが為の方便だと思いますし、実際にシリコンシャンプーやトリートメントのせいでキューティクルがボロボロになったという研究結果はございません。

 

というかキューティクルを強引にこじ開けるカラーやブリーチでもそう簡単に剥がれたりしませんし、シリコン程度でキューティクルがダメージを負うのであれば人類皆チリチリヘアーですよ。

ただし、先述したようにシリコンには分子量により質感が変わり、また濃度によっても効果が大きく変わります。

しっとりと重い質感になるものがあれば、サラっと軽い質感になるものもあり、この辺は個人の好みによるところが大きいですね。

 

 

 

 

④カラーやパーマ

「髪をコーティングするのでカラーやパーマ等の邪魔になるのではないか?」という点ですが、コレもNOですね。

繰り返しになりますがシリコンは非常に分子量が小さく、毛髪表面に付着しても1から10まで覆い尽くすものではありません。

イメージ的にはメッシュ状に近く、基本的には水も空気も通しますので、当然カラーやパーマの薬剤も通ることになります。

これも「絶対に100%無いのか!?」と言われるとドキドキしますが、ハッキリ「ありません」と言えると思います。

というか経験上知っていますが、シリコンどころかハードスプレーでカッチカチに髪を固めた状態でもカラーは染まります。

 

 

 

 

 

まとめ

ノンシリコン商品の台頭によりやたらと敬遠されがちなシリコーンですが、用法・容量を守れば極めて有益な効果をもたらす大事な要素です。

「結局シリコンとノンシリコンのどちらが良いのか?」という点に於いては、結局は髪のコンディションの個人差によるとしか答えられません。

髪質やダメージの度合い、細かく言えば求めるスタイルやヘアカラーなどにもよる部分が大きく、良し悪しの問題ではないんですね。

 

個人的な意見としてはシリコンを入れる必要が無いくらい良質なシャンプーを率先して使うべきだと断言しますが、コンディショナーやトリートメントではその限りではありません。

ヘアケアは往々にして複雑なものでして、結果的に髪がしっとりサラサラになるのであればシリコーンを含むコンディショナーやトリートメントは使うべきだと思います。

 

またシリコン自体にも色々と種類や特性があったりもしますが、この話はまた今度。

口を酸っぱくして言っていますが、ノンシリコン商品はシリコン商品と比べて比較的高い値段になる傾向があり、そのせいか高額なノンシリコン=最高みたいに勘違いしがちなものです。

しかし現実にサロンケア商品や、超が付くほどの高級ヘアケア商品でも普通にシリコンは使います。

どうか毛嫌いをしないようにお願いいたします。

というかね、最後につけるアウトバストリートメント(流さないトリートメント)なんかほぼシリコンオイルだからね。

 

 

 

今回のまとめ

・シリコンは安心・安全・高性能であらゆるものに使われる。
・髪をサラサラにして静電気を防いでくれる。
・毛穴に詰まったり、キューティクルを剥がしたりしない。
・カラーやパーマの邪魔もしない。
・シリコンとノンシリコンは優劣を競う仲ではない(コンディショナー、トリートメントに限る)
・高額なノンシリコンよりも、安価なシリコンの方が髪がしっとりすることはザラにある。