今回はヘアカラーの有害性のお話です。

3月に入ると高校や大学の新入生がこぞって髪を染める時期になりますが、ヘアカラーの知識に疎いために無理をしがちな傾向が高いものです。

オシャレには相応の苦労が伴うものでして、いざ髪を染める前に知っておくべきことがあるのでお伝えします。

 

 

とは言っても大半の方は髪を染めた経験があると思いますが、そのほとんどの方がトラブルも無く染められたと思います。

しかし化学薬品である以上どうしても危険性がついて回るものですし、統計上では実際にヘアカラーのアレルギーにより危険な目に遭ってしまった方も少なからずいるとされています。

ただし、20年美容師をやっている私は未だにお目にかかったことはありませんので、やはり大半の方は大丈夫なものであると言っても良いでしょう。

 

 

 

 

①アルカリかぶれ

刺激性接触皮膚炎とも言いますが、最も多いカラーのトラブルはコレ。

というかカラートラブルの大半はコレ

 

ヘアカラーの薬剤は基本的にジアミン染料+アルカリ剤+過酸化水素で構成されています。

狙う色や明るさにもよりますが、ヘアカラーはアルカリ性のものが多く、アルカリ性薬剤による皮膚刺激に頭皮が耐え切れず、かぶれるパターンですな。

特に生え際や襟足など、シャンプーで流しづらいところにありがちな話で痒みや腫れ、場合によっては水疱が出来ることもあったりします。

よほど強烈なカラーを使わない限りはそう多い話ではありませんが、お肌が弱めな方には丁寧な施術や頭皮ケアが必要になります。

 

リーズナブルなサロンだと手早くお客様をこなさなければいけないので雑な施術になりやすく、カラーを塗布する刷毛でガシガシとコーミングしたりすると痛いんですよね。

丁寧なサロンであれば顔周りにしっかりと保護クリームを塗ったり、もしくは頭皮に保護スプレーを噴霧した上でカラーに入ります。

もしお肌に不安があれば最初にしっかりと伝えておきましょう。

余談ですが、私は4回ブリーチしたら頭皮にガッツリ瘡蓋(かさぶた)ができたので、良い子のみんなは真似しないように。

 

一般的には24時間~48時間後に最も悪化する傾向が強く、その後は割と早く回復することがほとんどです。

逆に言えば3日4日経っても一向に良くならない場合は皮膚科医に相談すべきかもしれません。

 

補足しておきますが、ネット上では「ヘアカラーの染料が頭皮に蓄積する!!」的な文句で不安を煽る方が結構いたりします。

が、まともにやってるサロンであればpHを抑える薬剤(アルカリキャンセラ)を使ったり、シャンプー前にアルカリや過酸化水素を除去する薬を使ったりしますし、何よりお肌は代謝をするので(フケになるので)普通はそこまで気にしなくても良いと思います。

 

 

 

 

②ジアミンアレルギー

で、本当に問題なのはコッチ。

年間200名ほどの方がこのアレルギーを発症するそうですが、いわゆるアナフィラキシーショックを引き起こす危ないアレルギーなんですな。

頭皮のかぶれどころの話ではなく、顔が思いっきり腫れたり、呼吸困難や嘔吐を発症したり、最悪命に関わると言われています。

ただし、繰り返しになりますが20年美容師やってて一度もそういった方とお会いしたことはありませんので、相当にレアなものだと言っても良いとは思います。

 

ついでに言えば、ややカラーデザインの幅は狭くなりますがジアミンを使わないヘアカラーというのもあります。

ノンジアミンだから超安全かどうかは正直なところ何とも言えませんが、少なくともジアミンアレルギーのリスクは軽減できるものだと思われます。

何で断言できないのかというと、あまり使ったことがないので経験的な判断ができないからです。

不勉強ですみません。

 

で、当然サロンを経営していれば(極めて低くとも)そういった症状を出すリスクを負っているわけでして、まともに経営しているお店では初めてのカラーの際には必ずパッチテストを行います。

主に10代のお客様になりますが、当店では初めてのカラーの際はパッチテストを行い、48時間後以降で問題がなければようやくカラーをさせていただく形を取っています。

なので初カラーでテンション↑↑からの「パッチテストしてからです」でテンション↓↓という流れはお約束。

いつも落胆させてごめんなさいとは思いますが、これもお客様の安全を想っているからこそ。

どうかご理解くださいませ。

 

というか、個人的な本音としてはサロンカラーじゃなくてホームカラーが危ないんですよね。

・コンビニやドラッグストアでいつでも買える。
・サロンで染めるよりも安い。
・いつでも好きな時に手軽に染められる。

と、確かに便利でお財布に優しいものではあります。

 

しかし相応に頭皮トラブルのリスクもあれば、ちゃんと染まっていないリスクも大いに考えられます。

言い出したらキリが無いですが、

・強アルカリの製品が多く、皮膚や髪への負担も大きい。
・セルフカラーはムラになりやすいので、その後のカラーが面倒。
特に泡カラーは非常に薬剤が強い。
・髪の負担を軽減するpHコントロールや補修成分が無いのでパサパサになる。
・そもそもパッケージ通りの色になりづらい。

などなど、到底オススメできるものではありません。

予算的なものがあるので断言はしませんが、やっぱりサロンで染めた方が綺麗だし長持ちしますし、せっかくリスクを負ってまで髪色を変えるんだから完成度は高い方が良いですよね。

 

 

 

まとめ

今回はカラーの危険性についてのお話で、散々脅しておいてなんですが基本的には危険なものではありません。

結局は使い方次第の話ですし、用法・容量を守れば安全は確保できるというのは何もカラーに限った話ではないでしょう。

 

より綺麗に、より可愛く、より若々しく。

ヘアデザインを考える上では必須とも言えるヘアカラーは誰もが一度は経験するであろうものです。

サロンでも家でも、お手軽に髪を染められる時代ですし、スタイルチェンジや気分転換には最高の技術だと思います。

それ故にどういったリスクがあるのか?どうリスクを軽減すれば良いのか?そういったことに目を向けるのも大事なことです。

 

より安全に、より安心してヘアデザインを楽しんでいただく為に美容師やメーカーも日々努力を重ねていますが、一方通行な安全への配慮だけでは限度があるのもまた事実。

年間200名が苦しむアレルギーの存在は無視できないものですし、多少なり不安があるようであれば信頼できる美容師に相談してみましょう。

特に初めてカラーを経験する方は本当に大事なことなので、自分でやっても良いですし、サロンにお願いしても良いですし、絶対にパッチテストをするようお願い致します

 

今回のまとめ

・カラーにはアルカリかぶれとジアミンかぶれがある。
・ジアミンアレルギーはシャレにならない。
・頭皮が不安な方は美容師に相談。
・乾燥している時、頭皮が痒い時は無理して染めない。
・パッチテストは絶対にする。