今回はシャンプーの洗浄成分のお話。
洗浄成分は一般的に界面活性剤と呼ばれますが、水分と油分の架橋となるものだと思ってください。
頭皮の皮脂と水が混ざるようにして洗い流すイメージで、その種類は細かく分かれていますが、普通は数種類をブレンドして各社オリジナルの配合を作っております。
この配合比率は秘密のレシピで、いわゆる企業秘密というやつですな。
ので、単純に「〇〇が入っているからダメシャンプー!」と断じれるほど単純なものではないのですが、パッと見てどの程度優れたシャンプーなのかの目安にはなります。
ちなみに、大雑把に説明すると洗浄成分は
脂肪酸
+
添加物
+
アルカリ剤
で作られます。
例としては
ラウレス(ラウリン酸)
+
硫酸
+
Na(ナトリウム)
や
ココイル(ヤシ油脂肪酸)
+
加水分解ケラチン
+
K(カリウム)
という感じ。
語尾にくっつくNa(ナトリウム)やK(カリウム)やTEA(トリエタノールアミン)はアルカリ剤の種類を表します。
一般的にはNa=バランス系、K=サッパリ系、TEA=しっとり系のようなイメージです。
ただし、この3つの組み合わせ自体がかなり繊細なバランスで成り立っており、更にシャンプーを作る際はこれらを組み合わせて目的に合う洗浄成分を作るものなので、あまり気にしなくても良いです。
あくまでちょっとした豆知識ですな。
以下は主な洗浄成分(界面活性剤)の種類です。
①高級アルコール系
代表的な例)
ラウリル硫酸Na
ラウレス硫酸Na
ラウレス硫酸アンモニウムなど
キングオブ安価。
硫酸系や石油系という二つ名を持っています。
とにかく洗浄性が高く泡立ちが良く、どんな汚れた状態でもガッツリと洗い上げる剛腕であり、何よりコストが極めて安いという特性があります。
市販のシャンプーの大半に使われる成分であり”¥1,000未満の商品はみな同じ”法則はこれに基づいています。
汚れと同時に皮脂も洗い流すため、頭皮の乾燥や痒みやフケの原因になりやすく、当然髪もキシつきます。
このギシギシな感触を改善するために使われるのがお馴染みシリコーン(×シリコン〇シリコーン)であり、何故かシリコーン製品=悪の図式で勘違いする人が続出しました。
※最近はその悪名が響き渡ったため、代用品として(C14-C16)オレフィンスルホン酸Naが使われることが非常に多いです。
分類上は高級アルコール系とは異なるものの、ほぼ同じ働きをする成分であり食器用洗剤に主に使われます。
よくある”石油系フリー、硫酸系フリー”に騙されないよう気をつけましょう。
②アミノ酸系
代表的な例)
グルタミン酸Na
アラニンNa
グリシンNa
タウリンNa
サルコシンNa
アスパラギン酸Naなど
サロンシャンプーや、市販品の中でも高価な部類のシャンプーに使われる洗浄成分で、頭皮の潤いを保ちながら適度な洗浄性を発揮する優等生。
髪の毛の8割はタンパク質で構成されており、アミノ酸(=タンパク質)で洗うため髪にも優しくダメージケアにも適しています。
種類によってしっとり系だったりサッパリ系だったりしますが、配合によってはマイルド過ぎて泡立ちが悪くなってしまうのはご愛敬。
念のために言っておくと肌に優しい=菌にも優しいということなので、汗っかきや皮脂多めの方には優しすぎることもあったりします。
※高級アルコール系シャンプーにアミノ酸を添加して”アミノ酸系”を謳う悪質なメーカーもあったりします、全く別物なので騙されないように気をつけましょう。
また泡立ちが良くないと言いましたが、一級品のシャンプーであればアミノ酸系の泡立ちを補助する洗浄成分が添加され、そこそこな起泡力を持つ商品も沢山あります。
一応補足として
・グルタミン酸系→泡立ちや洗浄性は弱めでしっとり系。
・アラニン系→そこそこな泡立ちと洗浄性、ややさっぱり系、高価。
・グリシン系→泡立ちと洗浄性が高くさっぱり系、中性~アルカリ性で効果を発揮するため髪はきしみやすい。
・タウリン系→そこそこな泡立ちと洗浄性、さっぱり&しっとりバランス型。
・アスパラギン酸系→そこそこな泡立ちと洗浄性でバランス型、高価。
・サルコシン系→殺菌性を持つ特殊なヤツ、旧表示指定成分(アレルギーの原因になる可能性がある)ということもあり、最近はあまり出番が無い。
むしろ歯磨き粉に使われる。
③ベタイン系
代表的な例)
コカミドプロピルベタイン
ココアンホ酢酸Naなど。
「ベビーシャンプーにも使われます!」が合言葉。
とってもマイルドで安心安全の代表格。
両性界面活性剤という上記とは別の種類に当たりますが、肌に優しく髪に対してのコンディショニング効果も持ち合わせます。
頭皮に優しい一方で洗浄性がマイルド過ぎるので、皮脂が多めな方やスタイリング剤を多用する方には歯が立たず、場合によっては全く泡立たなかったりすることも。
上位互換としてスルタイン系(アミドスルホベタイン型)というものもありまして、ベタイン系はほぼ全ての製品に使われますが、スルタイン系は良質な製品に用いられることが多いです。
主に髪のコンディショニング効果や、頭皮への刺激緩和として補助的に使われることが多いです。
④グルコシド系
代表的な例)
デシルグルコシド
ラウリルグルコシドなど。
非イオン性(ノニオン)界面活性剤という分類に当たり、グルコース(=ブドウ糖)由来の洗浄成分です。
泡立ちや洗浄性に優れ、頭皮の潤いを保ちながらも汚れはそこそこに落としてくれるので、有力な補助洗浄剤として使われます。
⑤酸性石けん系
代表的な例)
ラウレス-〇カルボン酸Na
ラウレス-酢酸Naなど
弱酸性なのでお肌に優しく、そこそこな泡立ちとしっかりめな洗浄性、特徴としては吸着力が弱いため肌や髪に残りづらくサッパリとした洗い上がりになります。
こちらもベビーシャンプー等に使われることもあるので安全性は高め、天然由来原料のものが多いのでオーガニック系や育毛系のシャンプーによく使われる印象です。
⑥PPT系
代表的な例)
ココイル加水分解コラーゲンNa
ラウロイルシルクアミノ酸Na
ココイル加水分解ケラチンKなど
コラーゲン、シルク、ケラチン等のタンパク質由来で最高級の洗浄成分、最強、そして尊い。
泡立ちや洗浄性はやや控えめながら、毛髪のケアをしながら洗えるという夢のような素材になります。
柔らかくしっとりと、サラっとハリコシを、滑らかなしなやかさを、求める質感に合わせて用途や配合が変わりますが、これをメインに使うシャンプーは基本的に良い商品だと思って良いでしょう。
ただ高い、すこぶる高い。
まとめ
シャンプーの大部分を占める洗浄成分ですが、今回は大まかな分類の話でした。
実際には細かい配分で作られるため一概に良し悪しに繋がる知識ではありませんが、どれだけ販売元が消費者に気を使っているのかの目安にはなると思います。
派手さはなくとも誠実にものを売る企業があれば、ド派手にTVやSNSで宣伝を繰り返しながらも低品質なものを売る企業があるわけで。
成分は嘘をつきませんし、成分表示にはどれだけ言い繕っても誤魔化し切れない真実が隠れています。
何度も言っていることですが、無知は損をします。
しっかりと覚えて、良質なものを選びましょう。