毎日お客様と接すると色々な髪の悩みを相談されますが、大まかに分けると
・髪がパサつく、ゴワつく。
・髪が絡まる、広がる、うねる。
・抜け毛、切れ毛、枝毛が多い。
・ボリュームが出ず、ぺたんこになる。
・カラーの色がすぐに抜ける。
・頭が痒くなる、ベタつく。
・フケが出る。
こんなところでしょうか。
髪の毛が傷む原因は非常に細かく分類されており、言い出したらキリがない話ではありますが、そもそも髪の毛は死滅細胞なのでダメージを負うことはあっても勝手に回復することは絶対にありません。
ある程度のダメージはトリートメントで解消することは可能ですが、やはり日々のダメージに気を使う方が大事です。
頭皮に対してのアプローチも同様で、お肌に気を使うことはあっても頭皮に気を使うことは少ないものです。
同じ肌なんですけどね、多少の痒みやフケが出ても、何だかんだであまり気にしていない方の方が多いように感じます。
綺麗な髪は健やかな頭皮から生えるものであり、美髪の第一歩は頭皮のコンディショニングと言っても過言ではありません。
いずれにせよ、頭皮や髪に対しての知識が無いとどう頑張っても解決はしませんし、数カ月に1回のサロンケアでは到底足りるものでもありません。
綺麗な髪、健康的な髪を保つためには覚えなくてはいけないことがあります。
今回は大まかにですが、髪のダメージの原因を紐解いてみましょう。
①ケミカルダメージ
最も髪に負担を与える原因はやはりケミカルダメージであり、カラーやパーマ、ブリーチや縮毛矯正などが該当します。
非常に複雑なメカニズムなのですが、簡単に言うと髪の毛を守るキューティクルをこじ開けメラニン色素(髪の色)を壊したり、シスチン結合(髪の弾力)を切断したりするので、端的に言えば髪の保湿の元となるタンパク質などが失われることが原因となります。
タンパク質が無くなると髪の弾力が無くなったり、キューティクルが剥がれて内部が剥き出しになり切れ毛の原因となったり、髪が空洞化しカサカサの手触りになったりします。
ちなみにヘアケアの種類は多岐に渡りますが、髪の毛の8割はタンパク質で成り立っています。
脂質(セラミド)、間充物質(CMC)、NMF(天然保湿因子)、結合水などなど、色々と専門的な話はありますが、とにかく大事なのはタンパク質(とキューティクル)
一般の方がヘアケアを意識する際は、失われたタンパク質を補えるものが良いと思います。
で、各サロン毎の薬剤にもよりますが、一般的なダメージ順に並べると、
ブリーチ>>>縮毛矯正>>ハイトーンカラー>>一般的なカラー(白髪染め含む)≒一般的なパーマ
といった感じでしょうか。
とはいえ、現代では様々な化学処理の方法がありますので、然るべき選択と方法で施術を行えばそこまでダメージが蓄積することはありません。
髪のダメージを最小限に抑えながら、理想とするスタイルを追求するという点については薬剤メーカーや各サロンが日進月歩の努力をしていますし、ちゃんとしたサロンで施術を行えば元の状態よりも綺麗に仕上がることも普通によくありますよ。
昨今ではプロ用のカラーや縮毛矯正の薬剤がネットで出回り、セルフで施術を行う方もいるようですが、髪のコンディションはもちろん安全面でもオススメできませんので、プロとしての経験が無い方は絶対に止めた方が良いと思います。
ついでに言えば、お手軽に染められるホームカラーも薬剤が強烈なものが多く、繰り返すと髪はガビガビになります。
結果的に余計に面倒になることが多いので、これも本当に止めといた方が良いと思います。
②熱ダメージ(と自然乾燥)
これが意外と多い、特に正しいドライヤーの知識を持たない方が結構多いです。
髪を守る役割を持つキューティクルですが、濡れている状態だとキューティクルが開いており、そのまま自然乾燥をすると髪同士の引っ掛かりや絡まり、最終的には剥離や損傷の原因となります。
自然乾燥は論外ですが、7~8割の乾燥でOKというのも個人的にはどうかなと。
むしろ残りの2割を乾かしきることが非常に大事です、しっかりとツヤとまとまりが出るまで手櫛を通しましょう。
ちなみに余程のハイダメージでなければ、濡れている髪の負担になる温度は60°~70°くらいだと思ってください。
一般的なドライヤーの吹き出し口で約90°C~100°C、15cmくらいの距離で55°C~65℃くらいになりますので、普通に使っている分にはそこまで気にしなくて良いかと思います。
同じ方向に整ったキューティクルに光が当たる際、全て綺麗に反射されることで髪の艶が生まれ、いわゆる”天使の輪”が生まれます。
逆に言えば、ブロードライが不十分なままだとキューティクルが整っておらず、光が乱反射して拡散するためパサついた髪に見えるということです。
多毛やロングの方が面倒に感じるのも分かりますが、髪を綺麗に保つために必須のことですので頑張りましょう。
すごくシンプルなアドバイスになりますが、タオルで頭を包んで限界までタオルドライをして、根本→中間→毛先の順番を意識してドライすると意外と早く終わりますよ。
今では誰でも持っているカールアイロンやストレートアイロンですが、当然これもダメージの原因となります。
濡れた髪は60°Cくらいと言いましたが、乾いた髪は120°C~130°Cくらいが限界温度で、これを超えるといわゆるタンパク変性が起こります。
ちなみに、熱々のアイロンでも髪に当てると30°C~50°C くらいは瞬間的に下がるので、低温のコテやアイロンだと思ったようにスタイリングできなかったりもします。
個人的な経験値に基づくと150°C~170°Cくらいでパパっと済ませた方がダメージレスだと思いますよ。
③シャンプー
&
コンディショナー
これも意外に多い、というかヘアケア製品に気を使っていない方が結構多いなという印象です。
それでも昔に比べればネットで情報が得られる&通販で買える時代になったので徐々に改善傾向は見られるものの、いかんせん知識が追い付いていないなぁと感じることが多いです。
シャンプーやコンディショナーは普通は毎日することですので、最も髪のコンディションに直結する要素になります。
毎月サロンでトリートメントをされる方も少なからずいますが、どちらかと言えば2~3カ月に1回という方の方が多数派でしょう。
どちらかと言えばその間のヘアケアの方がより効果的ですし、日々の積み重ねに勝るトリートメントは無いと言っても良いと思います。
むしろサロンで扱うトリートメントの種類によっては髪にマイナスに働くこともありますし、しっとりを通り越してベタついている質感のお客様も実際にいます。
毎日使うものなのでコスパの良いものを選ぶのは当然だとしても、そもそもシャンプーやコンディショナーに対して根本的に勘違いしている方が極めて多いと感じます。
特にテレビCMや雑誌広告など、あまり消費者のことを考えていないような情報が溢れかえっている現在、多少の知識が無いと損をすることは非常に多いと思います。
まとめ
具体的な話は今後少しずつ書き足していきますが、今日はとにかくヘアケアに対する心構えのお話になりました。
大まかにケミカルダメージ、熱ダメージ、ヘアケア商品の3つに絞りましたが、実際にこの3つに気を使えば大体の場合は綺麗な髪を保てると思います。
髪にしても肌にしても、ファッションや美容は小さな事の積み重ねであり、近道はありません。
楽をしたい気持ちは十分に理解できますが、その気持ちが美容業界のビジネスチャンスになっているのが現状ですし、お手軽感を演出するために嘘スレスレの宣伝文句が世に溢れているのも問題なんだと思います。
コロナ騒ぎから1年が経過し、ニューノーマルな生活を模索する日々はまだしばらく続くのでしょう。
家に引きこもる鬱憤を、美容に目覚める切っ掛けにして、少しでも明るく楽しい日々を過ごして頂ければと思います。